『ディディーコングレーシング』の大ボスであり、銀河を股にかける魔法使いの豚。しゃがれ声が印象的。
前回の記事はこちら
一戦目
初戦時
You can’t beat ME!
オレさまは キサマごときに まけんぞ!
SVOのシンプルな文です。
字幕ではウィズピッグを主語とした能動態になっていますが、原文の語順に忠実に訳すと「キサマごときにオレさまは倒せんぞ」となります。
日本語と英語では語順が違うことは皆さんよくご存じでしょう。英語がSVOの順であるのに対し、日本語はSOVの順で目的語と動詞の位置が逆になります。
したがって、時には原文の主語と目的語を逆転させたり、動詞を似た意味に言い換えることでより自然な日本語に翻訳できることが珍しくありません。
パーティーに乱入
Sorry to break the party WORMS!
おたのしみのジャマをしてわるいな。
…but I HAD to say GOODBYE!
サヨナラをいいわすれたんでな。
See ya later WORMS!
さらばじゃ ムシけらどもよ!
ワッハッハッハーーーーー!
“Sorry to break the party WORMS!”
[worm]とは細長くて地面を這う虫を指します。芋虫や毛虫などがソレです。罵倒語として使えば虫同然の存在、虫けら扱いをすることができます。
“…but I HAD to say GOODBYE!”
このセリフは時には別れのニュアンスが強くでる表現ですが、次に[see ya later]と言っているのでこれが最後とは本人は恐らく思っていないでしょうね。
“See ya later WORMS!”
字幕こそ「さらばじゃ ムシけらどもよ!」となってますが、原文では[see ya later]と言っていますのでウィズピッグ自身もまたレーサー達に会うことになるというのがわかっています。
ゲームの舞台であるティンバーアイランドを乗っ取ったのは彼ですし、必ずやレーサー達は元凶を倒そうとしてくるでしょうから。そういう意味も込めて「じゃあまたな虫けらども」という発言があるわけですね。
学生の皆さん、下校の際ご友人と別れる時はぜひ使ってみてくださいw
ちなみに[ya]は[you]のくだけた言い方です。会話だとしょっちゅうでてきます。
最終戦
“Well, lookie here!”
[lookie]は[look]のスラングで意味は同じです。「見てよ」とか「ほら(あれ)」という風に視覚的に注意を向けさせる間投詞です。※rookieと混同しないように!
“It’s the LITTLE WORM!”
[little]は物理的に小さいことを表すだけでなく「つまらないこと・取るに足りないこと」も意味します。every little thingっていうバンド名ありますけど、あの[little]と同じです。些細なことです。
“the LITTLE WORM”と言っているので、あえて直訳すると「あの虫けら」となります。ご存知の通り定冠詞theは前述・既知のものを指します。
「パーティにいたあの虫けら」かもしれませんし、「オレさまを倒したあの虫けら」かもしれませんが、いずれにしても存在は認識しているということがわかります。
[it]は文脈によって様々なものを指します。ここでは主語として使われていますね。
誰かの存在・正体を認識した時はこの[it]を主語にします。辞書的な定義では「状況からそれとわかるものを指す」とありますが、その時、[it]はSVの要素を包含している、すなわち節を指していると考えればわかりやすいかもしれません。
このセリフで言えば直前の文は厳密には節ではないのですが、文脈的に「ここに何かがいる」と言っていることはわかるかと思います。
[it]はまさにそれを指しています。くどい言い方をすればこんな感じに。
「こんなところに何かおるわい。(it=それは)あの虫けらだったわ」
[it]は代名詞の中でも色々なものを参照できるので便利ですが、なんとなくで理解していると要旨をつかみにくくなることがあります。
逆に、流し読みでも[it]が何を指しているかすぐわかるようになれば読解力も向上したと言えるでしょう。
最後に
今回で一通りのセリフ紹介は終わりです。細かいネタは後日紹介しますが、一旦『ディディーコングレーシング』の記事はこれで終わりです。
気が向いたらレーサー達のボイスやコース名などの解説をご紹介したいと思います。