ヒヒヒハハ
ディディーコングレーシングとは
1997年11月21日N64専用ソフトとして発売。N64にはマリオカート64が既にありましたが、私はディディーコングレーシング派でした。アイテムの性能が控えめで、マリカに比べ逆転が難しいゲーム性なんですよね。
『ディディーコングレーシング』のキャラクターは皆英語で喋ります。私も子供のころはほぼ意味不明でしたが今なら理解できます。そもそも、このゲームはレア社開発であり、スタッフは皆外国人。
日本語字幕は後付けというか英語のセリフのほうがスタッフの意図に近いはず。
ということで各キャラのセリフについて見ていこうと思います。
サポートキャラクター
プレイアブルのドライバーキャラは英語らしい英語を喋りませんので、プレイヤーをサポートするキャラからご紹介します。
改めて確認したところ英語っぽく聞こえるセリフを喋るキャラがいましたので後日オマケ程度に紹介します。
「まじん」タージ
プレイヤーをサポートする青いゾウさん。魔神のイメージからかアラビアンなイングリッシュを喋る。というか本場のインド人はもっと訛りがひどい
でも声優さんは恐らく米国の人。
(レア社は英企業なのでイギリス人かもしれない。要リサーチ…。)
やっぱりアメリカ人かも…。ウィズピッグの訛り的に。
ウィズピッグに敗れ島を支配されてしまった。
やあ、こんにちは。
I am the GENIE of the island.
わたしは、しまの「まじん」タージです。
I am here to HELP you!
ここで君をたすけてあげよう。
Good Luck!
がんばるんだぞ。
“HELLO THERE!”
挨拶の常套句で、よりくだけた言い方として[Hi there!]なんて言ったりもします。実は後述するT.T.が実際に言うセリフだったり…。
この”there”は呼びかけに用いて「そこの人」を指します。ここではHello(こんにちは)という挨拶に続いていますので、「こんにちは、そこの君」→「やあ、こんにちは」くらいの日本語になります。
要するに相手の注意を引くための言葉、と覚えておけば良いでしょう。
“I am the GENIE of the island.”
このセリフ、日英によって自己紹介の内容が少し変わっているのが面白いポイントです。
日本版ではしっかり「タージ」と名乗っているのに対し、英語では”the GENIE of the island(島の精霊)”としか言っていません。
根拠のない完全なる私の推測ですが、これはキャラクターに対する意識の差が顕現したことによるものではないでしょうか。
日本版では名乗らせることで「タージ」というキャラクター個人を意識させているのに対し、英語では個人名を名乗らせず精霊というポジションを強調することで「あ、このキャラクターは融通を利かせてくれる存在なんだ」とプレイヤーに説明している感じですね。
皆さん、昔話を思い浮かべてみてください。桃太郎でも竹取物語でもなんでもいいです。お話に登場する人物の名前、憶えていますか?恐らく主人公以外は覚えていない・そもそもない、と答える方が大半でしょう。
おじいさん・おばあさん、鬼。翁・帝。これらは個人名ではなく身分・立場を表す通称。彼らの存在にとって大事なのは作中での役割であり、特定個人としての要素はぶっちゃけどうでもいいわけです。
そしてそれは海外の、シンデレラや白雪姫で有名なグリム童話などでも同じ。ドワーフ(小人)や王子に名前があるでしょうか?ありませんよね。
話を戻しましょう。このゲームは子供向けに作られたものです。
日本・欧米を問わず魔神という存在は「願いを叶えてくれる・助けてくれる」アイコンとして映ると思います。
すなわち、童話など子供向けのストーリーを連想させるということ。
『ディディーコングレーシング』の主人公はディディー(=プレイヤー)を初めとするキャラクター達であり、タージをはじめとするそれ以外のキャラクターは脇役、身も蓋もない言い方をすれば舞台装置のようなもの。
そんな彼らに与えられた役目は個人としての活躍ではなく、ゲームを進行する上での歯車であると言えます。
genie自体がアラビア説話などに出てくるランプの精を指しており、海外のプレイヤーもそういうおはなしを想起したことでしょう。
したがって、このセリフの日英での相違点は以下のようになります。
日:タージという個人に焦点を当てることでプレイヤーに親近感を抱かせている
英:パーソナリティよりも役割を意識。まじんタージというよりはゲーム内の頼りになるおじさんという感じで、【力を持った者たちが助け合い、悪を打ち倒す】という物語の構成を印象付けている。
“I am here to HELP you!”
字幕では「ここできみを助けてあげよう」となっていますが、実際には[be here to do~]は「~しに来た」と訳されることが多いです。あえてこのセリフを言い換えれば「助けに来てあげたよ!」という風に。
前述の通り、プレイヤーを導くお助けキャラとしての役割が強調されているのか”HELP“とわざわざ大文字表記で強調されていることからもわかります。
“Good Luck!”
ご存知の通り相手を激励する表現です。内容を明示したい時は前置詞withを用います。
話しかける
Hello friend.
のりものを選ぶ
Select your vehicle.
車種を選ぶ
Abracadabra!
のりものから選択メニューに戻る
Can I help you further?
チャレンジを選ぶ
Select the challenge genre of your own choice.
チャレンジからメニューに戻る
Will that be all?
別れを告げる
Bye bye for now.
“Hello friend.”(やあ友よ; やあ君)
この”friend”は呼びかけや引き合いに出す時の丁寧な言い方として用いられます。
“Select your vehicle.”
文字通り「乗り物を選んでね」ということです。[vehile]は乗り物全般を指します。shipでもplaneでもcarでも。
“Can I help you further?”
[further]は「より遠く」以外にも「さらにまた(=furthermore)」という意味があります。“Can I help you”は[May I help you]と同じく「いかがしましょうか」。mayを使った方が丁寧な言い方になります。
これは乗り物メニューから離脱した後の場面であるため、「そのほかに何か力になれることはないかな?」と聞いてくれているわけですね。
ポケモンのフレンドリーショップの店員も昔よく言ってましたよね、「そのほかになにかわたくし共でお力になれることは?」って。最近は言わなくなった気がする…。
“Select the challenge genre of your own choice.”
「君自身が挑戦するジャンルを選ぶんだよ」
ここ聞き取りづれえ…。”of”じゃなくて”on”に聞こえるんだけど、文法的には前者の方が正しいはず。
“of your own choice”は「自分自身で選んだ」という意味。前の名詞を修飾する働きをします。単純に「どのジャンルに挑戦するんだい?」って感じで訳しても問題はなさそう。
“Will that be all?”
現在形に直すと[Is that all?]となります。「それで全部か」をwillをつけて丁寧に言っているだけなので「以上でよろしいかな?」という意味になります。飲食店の店員さんがこういう言い方をするみたいですね。「ご注文は以上でよろしいですか」という感じで。
“Bye bye for now.”
“for now”は「今のところ」。直訳で今のところバイバイ。自然な日本語に直すと「またね、バイバイ」という感じ。一旦別れるというニュアンスが包含されており、またすぐに会うことになる(とタージは思っている)というのがわかります。
ちなみに私は昔「また行くの~」って聞こえてましたw
This is for you.
You won first prize!
中ボス戦後のtips
I’ve got something special for you.
“This is for you.”
「これ(=バルーン)を君に。」
どうでもいいけどニコニコでよく流れる「This is 10億」っていう空耳くだらなさすぎてすき。
“You won first prize!
「一等賞だよ!」
winの過去形である[won]はウォンではなくワンと発音する。oneと同じ発音。[win]には「手に入れる」という意味もある。主に競争や争いの末獲得することを指します。
“I’ve got something special for you.”
「とっておきを教えてあげよう。」
タージがアドバイスする時に流れるセリフ。例えばプレゼントを渡す時など「とっておきがあるんだ」とか「見せたいものがあるんだ」という風に使います。直訳すると「君のために特別なものを用意したよ」という感じですね。
T.T.
いかにもアメリカ人が考えたようなデザインのキャラクター。当ゲームに登場するレーサーの中では最高の性能を誇ります。子供のころはタイムアタックを頑張ったものです(懐古)。
Hi, there! I’m T.T.!
Okay…
See you there!
“Hi, there! I’m T.T.!”
「やあ!ボクT.T.!」
タージの項でも説明した通りこのthereは呼びかけのthere。HelloではなくHiを使っていることからタージよりもフランクな印象を受けます。
ハイゼァ、アイムチ〇チ〇!って聞こえない…?
“Okay…”
「わかったよ…」
なんか寂しそうに去っていくのすき。
“See you there!”
直訳は「そこで会おう!」。
“there”がゾーン内を指すのかタイムトライアルを指すのかは不明ですが、意味合いは「またね」くらいのものです。要するに別れの挨拶。時に重点を置くなら[See you then!]と言ったりもします。
わーい。さあパーティだ
お前パリピかよ
[party]はholdなどの動詞と連語関係にあることが多いですが、ここでは口語的な使われ方をしています。
辞書を引くと「(口)パーティに出かける・パーティを催す」と書いてあるでしょう。
せっかくなのでpartyと結びつく動詞を以下にまとめました。
give, have, hold, host, throw…
Soon after Wizpig was defeated, T.T. suggested throwing a celebration party.
(ウィズピッグが負けるないなや、T.Tは祝勝パーティーを開こうと言った。)
Power up!
Now try to beat MY time!
ボクのベストタイムにかてるかな!
Keep going!
You can do this!
Go for it!
Too bad! Unlucky! Oh, no! Not again!
Well Done! Now try another track.
すごいネ! べつのコースでもちょうせんしてネ。
You have beaten all my times!
あーあ。ぜんぶのコースでまけちゃった。
Now you can PICK me!
ボクもなかまにはいるヨ!
Lap record!/Race record!
No, no, no! Wrong way!
3, 2, 1, Blast off!
T.T.はタイムトライアルやナレーションでも喋ります。何気に一番セリフが多いキャラだったりします。
“Now try to beat MY time!”
忠実に訳すと「さあボクのタイムに勝ってみなよ」。[try]は一般的に「試みる、努力する」ことを表す動詞。和訳の際は「~しようとする。やってみる。」等の訳を当てることが多いと思います。
[now]は間投詞。「話題の転換・要求」などを表します。T.T.と戦うためにはまず記録を出しておく必要があります。その背景を踏まえて「さあ今度はボクに勝ってごらん」というニュアンスを出すために”Now”言っているわけですね。
“Keep going!” (その調子!)
直訳は「(進み)続けて」。応援の際によく耳にするフレーズです。「頑張れ」と訳しても構いません。
“You can do this!” (君ならできるよ!)
こちらも相手を励ます時に使う表現。[You can do it!]としてもいいでしょう。スポーツの応援シーンだと”Come on, 〇〇(人の名前), you can do it!”という風に使われることが多いと思います。
“Go for it!” (頑張れ!)
応援フレーズ。直訳は「それに向かって進め」。目標やゴールに向かっていくよう促す表現です。itが目標だと捉えれば理解しやすいかもです。
“Not again!” (またやっちゃった)
他は説明する必要がないほど簡単なので割愛します。
この表現は失敗を繰り返した時に使います。「またか!」「またやっちゃった」という感じ。主語・動詞・名詞などが省略されています。会話ではこのような省略表現が頻発します。
他に[again]を使った省略といえば[You again!?(またお前か!?)]などが挙げられます。
“Well Done! Now try another track.”
日本語ではチャレンジを「挑戦」の意味でよく使いますが、英語では目的語が人でなければなりません。というわけで「(物事に)挑戦する」と言いたい時は[try]を使います。
[track]はコースのこと。[another]は不特定の他の物を指します。したがって「じゃあ(次は)他のコースもやってみてね」くらいの意味になります。
“You have beaten all my times! Now you can PICK me!”
そしてこの顔である。
字幕では「あーあ」と落胆の声が漏れていますが、原文はただの平叙文です。”Now you can pick me!”は「これでボクが使えるようになったよ!」。この[pick]は[choose(選ぶ)]と同じ意味。強調のためか大文字にされています。少しメタいセリフですね。
字幕だと「仲間に入る」と言ってますね。こちらのほうがゲーム内の表現としては適切かもしれません。仲間入り=プレイアブルという婉曲表現になっています。
“No, no, no! Wrong way!”
「違う違う違う、逆だよ!」
“wrong way(間違った道)”とはすなわち逆の方向のこと。”other way (around)”とも言ったりします。このセリフでは間投詞的に使われていますが、文中で用いる時は[the]をつけましょう。
“3, 2, 1, blast off!”
ロケット打ち上げの決まり文句。「3,2,1、発射!」。
今思えば灯台がロケットに変身して宇宙まで行くってなかなか突拍子もない演出ですねw
北米公式サイトのタージ
アメリカの公式サイトにタージのメッセージがあったのでおまけに載せておきます。クソみたいな翻訳でスンマセン…。
Welcome! I’m Taj the genie, guardian of Timber’s Island.
ようこそ!わたしは精霊タージ、ティンバーアイランドの守護者です。
You may have heard that the wicked, intergalactic racing champion, Wizpig, is causing trouble in our peaceful island home.
君も聞いているのではないかな。あの邪悪な、銀河を股にかけるレースチャンピオンウィズピッグが、わたしたちの島で悪さをしているということを。
Wizpig has worked his magic to take control of the strongest and fastest inhabitants, like Tricky and Bubbler1, and given them the keys and amulets that lock the portals to his palace.
ウィズピッグは自分の魔法を使い、トリッキーやバブラーのようなこの島で最も強く、速い動物たちを操り、そして彼らにカギとアミュレットを預け自身のいる館への入り口を閉ざしてしまったんだ。
Oh my! The only way to win these treasures is to defeat Wizpig’s unwitting accomplices in a series of races.
なんということだ!これらの宝を手に入れる唯一の方法は、図らずもウィズピッグの仲間となってしまった者達とのレースに勝つこと。
Of course, Wizpig and his new minions won’t face just anyone — no, they only want to race against the best.
もちろん、ウィズピッグや新たな子分たちはどこにでも姿を現すというわけではない—最も優れた者としか戦わないんだ。
So my intrepid friends — Diddy, Timber, Tiptup and the rest — must race each other to earn the right to face Wizpig’s lackeys.
だから勇猛なる同志たちよ ディディー、ティンバー、ティップタップそしてその他の者たちよ お互いに切磋琢磨し、ウィズピッグの下僕たちに立ち向かうんだ。
The one who wins all the races must then beat the big pig himself!
あの大豚を打ち倒すのは、全てのレースを制した者だ!
Since racing just happens to be the favorite hobby of Timber and his friends, I don’t believe that Wizpig has a chance!
奇遇にもティンバーや彼のお友達はレースが大好きなようだから、心配はしていないけどね!
Look around here. The different racers are sure to have their own tips on how they’re planning to beat Wizpig!
周りを見てごらん。ウィズピッグ打倒に役立つ情報を持ったレーサーがたくさんいるはずだ。
参考動画
タージ
T.T.
- 中ボスのトリケラトプスとタコの名前。ちなみにトリケラトプスのスペルはtriceratopsで、カタカナ発音はトライセラトップス。 [↩]